土井善晴さん ~毎日の食事にあるもの~ 講演会
こんにちは。女性の在りたい姿を応援する、エバーガールの有紀子です。
先日、東京都私立幼稚園連合会が主催するPTA研修会に参加してきました。
料理研究家の土井善晴先生の講義だったので、とても楽しみにしていました。
場所は市ヶ谷の私学会館でした。
参加者は300~500名ほどでしょうか。
とても素敵なお話だったので、たくさんメモを取らせて頂きました。
(手帳の書いちゃいけないところにですけど・・)
素敵なお話を、差し支えなさそうな範囲でシェアさせて頂きますね。一部、土井先生風な口調にしております~。
※ちなみに、大きな部分や資料は著書【一汁一菜】と重複しています。直接伺った上での非言語情報を中心に書き起こしますね。
土井先生のお話
「命を繋ぐもの・世界文化遺産の『和食』はおばあちゃん、お母さんが作っているおうちごはん」
出だしからママたちの心をつかむ土井先生のはんなりとした空気と言葉が次々と選ばれました。
ゆるさと温かさが醸し出される講義でした。まずここが勉強になりました。受講する人に合わせてツカミがバッチリでした。
幼稚園のお母さんたちへ。
今が一番かわいい時ですよ。日本の女性はね、いや世界でもね、すごいものでね。
みんな常に「家のご飯はちゃんとしたい」って考えるんですよね。
この移民の女性の写真を見てください、この方も鍋を頭にかぶり、子供の手を引いて避難しているでしょう?女性と男性はDNAでもともと違うんですよ。
女性はね、生命に近いんです。
女の人は人の顔の心を見て読み取れるでしょう?
男は無理なんです。
表面上しか読み取れない。それぞれの違いを認めて、男女が協力し合っていくべきなんです。
女性が社会進出をしている現代においても、社会は、女性の純粋な気持ちに頼り過ぎています。誰も問題視していないんです。
だから僕は、家庭料理に向かうようになった。
「人間は料理をすることで人間になった」といハーバード大学のリチャード・ランガス氏の言葉があります。
今はね、買ったりして料理をしなくてもいいでしょう。でも、料理をしないと人間であるための大切な何かを失ってしまうんですよ。
料理をするとね、火を通すとね、食べ物は人間にとって消化しやすくなります。刺身やおかゆ、お腹に優しいでしょう?
料理をするっていうのは、
・心を育む
・生きる力を学び、身に着ける
・社会性を培い
・大人になる
・選ぶ
・喜ぶ
・繋ぐ
・伝える
という
人間の根源的な生きる力を養う力があるんです。
世界の風土に合ったものを食べればいいんです。日本人は、日本の食べ物が一番体に優しい。
ほうれんそうのお浸しの例。
土井家のほうれんそうのお浸しは、サッて湯がいておかかをかけてお醤油でしょう?
でも高校の教科書や大学のテキストではわざわざ「醤油で湯がいてお出しに浸す」とあります。
そんなものは料亭とかお金をもらうためのところがやればいいんです。おうちのご飯は、素材をそのままで十分。
「教える」にも商売が関わるから敢えて難しくなっちゃうんです。
情報が歪んで、手あかがついた言葉がいっぱい。純粋なレシピがないんです。
おだしもね、普段のケの日は水から出した二番だしで充分。一番だしのお吸い物はハレの日の料理なんですよ。
普段の家庭料理は醤油、さとう、みりん、酒でいい。
ご飯に合わせたかったら濃いめ。みそ汁も、おかずにしたかったら濃くするの。
全体でね、味の帳尻が合えばええんですわ。
そこを、「今日はこれしかおかずがないの?」「僕は薄味が好み」「私はこれ食べたくないわ」とかって家族がいうのとか、おかしい。
主役はね、お母さんなんです。作る人が主役。
家庭料理はお店じゃない。そこにあればええんです。
だいたいお腹が空いている人たちは冷静じゃない。そんなひとたちに何を言われたって気にしなくていいんです。
食文化は母親が作ればいいんです。
学校でも、和食の文化は君たちのおばあちゃんやお母さんたちが作ったんですよ、それが”世界無形文化遺産”なんですよ、と教えたらいい。
そうしたら子供たちは感動して、「おかあさん、おばあちゃん聞いて!おうちのご飯、すごいんだね。ありがとう。」ってなるんです。
ミシュランとかフレンチレストランとかそういうんじゃないんです。
旬の素材そのものを生かして、なんも手を加えない和食が文化遺産なんです。
「お造り」
っていう言葉があるでしょう。
お造りってね、神様が造ったものという意味なんですわ。
これが和食の象徴なんです。マリアージュやクリエイティブとか要らないんです。毎日みんなを健康にする添加物のない自然の食事が大事なんです。
おにぎりもねごのばくだんみたいなのがええんですわ。
いかに手数を減らすか、まずくしないか。
ハレの日とケの日
NHKの今日の料理でね。一番人気は里芋の煮転がしなんですわ。
旬の里いもはね、石突を取っただけで剥けるんです。
昔は足で踏んだりいろんな手を使っていた。
でもハレの日の割烹料理は違うよね、面取りするよね。
それは人と人との間に角が立たないために取るんですわ。
それから、神様に供えるからなんです。
神様は、栄養要らないでしょう?だからキレイにするんです。色も薄味に仕上げればいい。
でも人間はケの日の食事はどうでもええんです。
全部食べるんです、皮も種も。僕なんていまかぼちゃの煮っ転がしも種まで入れていますわ。
持続可能な家庭料理が大事
汁飯香 の3品でいいんです。
その分、余暇を作ってください。
毎日食べても飽きないものを。
花だってそうでしょう?季節それぞれ違うのが咲くからいいんでしょう。
みそ汁に何でも入れればいい。みそ汁が塩分が濃いっていうけど3分の1は流れてしまうし、広島、長崎、チェルノブイリでは有効だということでみそが輸出されて早くから摂取されているんです。
メインディッシュなんていらないんです。汁が豪華ならいいんです。
たまにそこに旬のものが一品おかずになれば、「わあ、ごちそう」と楽しむことができるんです。
それが家庭料理です。
家庭料理は、「毎日の行い、命を育むもの」なんです。
(書籍の一部、手間暇かけない一汁一菜の事例がたくさんです。)
とても楽しかったです。これからも育児と家庭料理に誇りをもって手を抜いてシンプルに作り続けたいと思います。
そしてその背中を子供に見せたいと思います。
普段は、シンプルが一番!結果的にヘルシーで日本人の長寿にもつながっているのでしょうね。
和食は、その栄養面でも文化遺産として評価されているそうですよ。
いつも肩の荷が降りる言葉を有難うございます。
こちらの記事もどうぞ。